アトツギが起こす盛況

跡継ぎと言う言葉が本来持つ意味は周知のとおりである。
しかし僕はあえてアトツギと書く。なぜか。

私自身は今はスタートアップの支援を仕事としているが、
新しいものを産んでこそ世界の新陳代謝が起こるのだと思っていた。
だから家業なんてのは古くなれば滅ぶべきで、
起業をどんどんするべきだと思っていた。この概念に出会うまでは。

【ベンチャー型事業承継】
若手後継者が、先代から受け継ぐ有形・無形の経営資源を活用し、
リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、新規事業、業態転換、新市場参入など、
新たな領域に挑戦することで永続的な経営をめざし、社会に新たな価値を生み出すこと

私は転職したばかりの職場で、この「ベンチャー型事業承継」のサポートを命じられる。

家業のリソースを使って新しいことや自分のやりたいことに挑戦する。

言語としては理解したが、それでもまだピンときていなかった。
元々コンビニの店長の経験もある僕は、
周りの中小零細のおじさんたちの頭の硬さをよく知っていた。
この件についてはひたすら懐疑的で、けっこう嫌々やりはじめたのが正直なところだ。

しかし取組みを重ねるうちに心境は180度転換した。
この事業は敢えて「34歳未満限定」の支援であることにこだわり
「継がせる側ではなく継ぐ側への支援」を徹底していた。

行政や金融機関の支援では決裁権を持っている社長へのアプローチが普通だ。
そりゃそうだ。お金を動かすのは社長だから。
しかし「事業承継」の主人公は息子・娘である。
この取組みは「本質」を大事にしている。それに気付かされたのだ。
今までまったくゼロだったビジネストレンドを一から作り上げようとしている
プロジェクトリーダーの背中に感銘を受け、
慣れない仕事ながらも気持ちだけは入れて取り組んだ。

若者は元気だ。気合いもすごい。

初対面のアトツギ同士でチームを組み、
3日間で新規事業を考えさせるアイデアマラソン
アトツギソン」は大変な盛り上がりを見せ、
各先輩アトツギ社長や、ベンチャー経営者などがコーチに、
Makuakeの中山社長やi-Plugの中野社長などが審査員として来てくれた。
ビジネスの世界での注目度の高さもそこで伺えた。

各チーム趣向を凝らし、かつどのように儲けるかまでしっかり作り込んだ
アイデアソンと最終日のビジネスプランコンテストは無事終了した。
そこから何本もアトツギイベントを手伝うことになるが、
個別の思い出はそのうち書こうと思う。

そしてアトツギの取組みは、元音響屋の僕が奇しくも
初めて仕事として動画制作を行った最初の取組みでもある。
音響出身なので動画制作でお金なんてガチの人たちに申し訳ない、、
と思っていたが、時間もかけなかった素人づくりでも思いのほかウケがよく、
ビジネスの世界にエンタメはまだ持ち込まれていないのだ。
と確信したきっかけでもある。

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