好きな言葉は「不労所得」
きーじぇーです。
僕がコンビニ店長として雇われていた時代のお話をちょこっと書かせていただく第2弾でございます。
第一弾では「PDCAっぽいものをこうやって回してました。」をザックリと書かせていただきました。
元コンビニ店長が経験した to Cビジネスのあれこれ〜マーケティング的な〜
そして「助っ人」という起業支援ポータルサイトでは、どう言う経緯でコンビニ店長になったかも書かせていただいております。
https://suke10.com/articles/franchise/1006543
さて、今回は僕がコンビニを運営するにあたり最も面白かった領域である「データ分析」について書こうと思います。
と言っても、具体的な数字を出すわけにもいかないので、「数字からこういう推察ができた」程度のことを書こうと思います。
もくじ
超お得な教材
そもそもマーケティングとは企業活動の重要な要素のひとつのことですが、その中であらゆる分野に対して「調査設計」を行い「データ収集(調査)」を行い「データ分析」を行います。
データを分析するにはデータが必要ですが、「何のデータをどれくらい何のために取り、どのように分析し、どういった結果を見たいか」みたいな調査設計が非常に重要で、普通に仕事してたらその設計だけでえらい時間を取られるでしょう。
「え、日々のデータを読んで売れた売れてないを気にして次に繋げればいいんじゃねえの?」と思う人も多いでしょうが、それだと普通すぎます。中学生でもできます。
コンビニには毎日膨大なあらゆるデータがPOSを通して入ってきます。
売上、天気などは当たり前ですが、「何%がキャッシュレス決済か」「アイテムごとの売上順位の変動」「その地域の同チェーンの平均の売上・粗利」「キャンペーン中に割引された累計金額」それぞれのデータが客数・金額・アイテムごとに存在するなど、本当に「ありとあらゆる」です。
それらを通してどのように分析して仮説と検証を立てていくか、これが売上の肝になるわけですが、これがホントに面白かった。
しかもコンビニにおいては収集するデータ項目の設計は本部が全部やってくれてるわけですから、僕は分析のノウハウだけを学べばよく、あとから「どういうデータがあればどんな分析ができるか」を経験で知っていくのです。
つまり普通の調査会社などと違い、実務的な分析を一足飛びに学べることがフランチャイズ(FC)チェーンで仕事をする上で最大の利点と言えるでしょう。
発注は何を基準に?
さて、実店舗での毎日発注において重要なデータはいくつかあるのですが、やはり「天気」「気温」「日付」「曜日」は外せません。
例えば五十日(ごとうび)と呼ばれる、月末月初と5の倍数の日は給料日だったり年金の支給日だったりで公共料金の支払いなどが多く、来客数が単純に上がりますよね。
そしてやはり天気が晴れなら客数は多く、雨なら少ないわけです。(地下立地でなければ)
例えば
25日(金)最高気温25度 晴
とかだと客数は最大に伸びたりするわけです。
そして25日は給料日であることが多く、飲み会が行われる率が高いですので、二日酔い防止系のドリンクをしこたま発注したりするわけですね。
五十日以外の発注だと、一時、2ちゃんねるで「バレンタインデーに独り身だったらうまい棒を買い占める」というノリが流行ったことがありますが、その情報を元にうまい棒を大量に拡充したこともあります(笑)
コロッケコロッケカーニバル2015(2年連続2回目)
余談ですが、前回の記事で、超絶ブラックな働き方をしていたことに軽く触れましたが、その中で若干頭がおかしくなっている時期がありました。そのときの僕は色々と自暴自棄な状態で、「もう無茶苦茶やったれ!」と阪神の岡田元監督のようにブチ切れたことがあります(笑)
レジ横のホットスナックのケースは3段構えなのですが、そのうちの真ん中の段を大量のコロッケで埋め尽くしたのです笑
POPに「コロッケコロッケカーニバル2015(2年連続2回目)」というわけのわからんことを書いて、チキンを頼んだお客さんに「え?コロッケの方が美味しいですよ?」などとジョークを飛ばし、「じゃあコロッケもお願いします(笑)」と言わせたものです。
無茶苦茶なように見えて勝算もありました。
・安価でおかずにもおやつにもなり買いやすい
・廃棄が出ても安価なので痛手にならない
・試食も配り、コロッケ新規顧客の獲得
・「(客)なんですかこれ笑」キッカケで顧客とのコミュニケーションが図れる。
・なんか知らんけどおもろい
結果その日だけで普段の8倍コロッケを売りました(笑)
上記の「なんか知らんけどおもろい」が1番の要因だと思っています(笑)
数字なのに人が見える。。
僕が日々データに触れていて一番面白いなと思ったのは、データから「人が見えた」ことです。
どういうことかというと、コンビニというところは店舗ごとに客層が偏る傾向があります。
具体的には地域特性、そして「住宅」「事業所」「繁華街」というような立地特性、この二つの特性によって客層が変わります。
僕が店舗運営していた地域では、県単位でいうと、東西南北、また街ごとや道路で囲われたブロックごとに顧客特性が変わると言う性質がありました。
これは推察ですが、その地域では得意な商売ごとに昔からエリア分けされてたのかな?と思っています。さらに戦後、商店会などの組合の力がそれぞれ大きくなり、商店会の商圏ごとに特性が尖っていったとも考えられます。
さて、「人が見える」に話を戻します。
人とは気質のこと
僕が所属していた会社は当時コンビニを3店舗持っており、そのうちの2店舗は僕が立ち上げました。
そしてその3店舗はそれぞれ「住宅」「事業所」「繁華街」とバラバラの立地にあり、結果僕は全ての立地特性を経験しました。
僕が立ち上げに関わった1店舗はその地域の北側にある、事業所が多いエリア。平均所得も高めで、美容室やネイルサロンなどの激戦区でもあり、スマートなお客様が多い印象です。
もう1店舗はその地域の南側にあるコテコテの繁華街、昔から住む人が多く商売色が強いエリアに位置していました。
今回は便宜上、前者を北店・後者を南店と呼ぶことにします。
北店と南店の数字を見比べてあることに気がつきました。
新商品の売れ行きが北店の方が良く客単価が高いぞ。。
当然、立地特性を考えると南店の方が酒たばこが売れるとか、北側の方はビジネスマンがよく水を買う、などは当たり前にあるわけですが、他にも、北側はおにぎりが売れるが、南側はパンが売れるなど、立地特性だけではちょっと説明しづらい違いも出てきました。
そこで僕はパンに注目してみました。
そして北店・南店よりさらに北側南側の地区のデータを調べてみました。
結果と推察
北店はパンの中でも新商品が毎週好調であるが、朝はパンよりもおにぎりやヨーグルトの売上が高く、南店はそうでもなく、そこからさらに南に下れば下るほど昔からの定番商品の売上が圧倒的に高くなっていったのです。
そしてさらに数字を調べてみると
・経済活動が活発な立地ほど新商品が売れる
・経済活動が活発でない立地ほど定番商品の売上が高い
傾向があることが見えてきました。
ここから推察するに、
新商品が売れる立地は比較的若年層が多く、ビジネスも活発→新しいものを発見し、チャレンジする気概がある。つまり顧客の情報感度が高そうだ
朝おにぎりや糖分摂取系を買う人が多い→仕事に対する意識の高さ?
既存商品中心に売れる立地は、若年層は比較的多くなく、経済活動も北側ほど活発ではない→新しいものにチャレンジしない。つまり顧客の思想が比較的保守的なんだろう
そもそも朝の売上が北より低い→朝ごはん食べない人多め?
ということが伺えました。
現に南側の地域の平均年収は低く、新しい事業所はあまり立てられず、未だ議員や組合の力が強い地域です。
そこからさらに南側の経済が活発でない地域に行くと、情報感度がどうの以前に「安けりゃ売れる」的なレベルです。
さて、ここまでわかれば「何をどのように仕掛けるべきか」はハッキリとしてきます。
店舗商圏という市場をコントロールできます。
僕が北店と南店それぞれで行なっていた仕入れの方法は皆さん想像に難くないと思います。
to Cって「人」のことだから
よく考えれば当たり前の話ではありますが、データを伴うのとそうでないのとでは説得力が違いますよね。
自分の考えをデータで裏付け、策を錬る。商売の基本ではありますが、その精度をどこまで高めることができるかがto Cの肝になるのではと考えます。
実店舗も新サービスもto Cはだいたい安定的に利益を出せるステージに行くのに3年かかると言われています。
そしてFCは基本的に薄利多売です。
目の前の顧客に向き合わなければいいけない一方、全体のことも考えなければいけません。
ある意味ではtoBよりも難しい領域でしょう。
適切な調査設計で得たデータによって「どこで何がどのような売れ方をしていて、何を仕掛けるべきか」ということを仮説-行為-検証に落とし込み、商売を回していくわけですが、大事なのはその先に「人の幸せがあるかどうか」を考えなければいけません。
逆に言えば、人の幸せを直接的に実感させることができるのはtoCビジネスであると思っています。
データ分析はただただ商売のツールというだけでなく、世の中の動きや、人の心境の変化まで捉えることができますので、データに触れる機会がある皆さま、色んなアプローチを試してみてはいかがでしょうか。